秋になり気温が下がってくると、クワガタ・カブトムシ飼育で気になるのが「冬の温度管理」です。
「室温が15℃まで下がるけど大丈夫?」
「外国産クワガタはヒーターが必要?」
「国産オオクワガタも暖房した方がいい?」
「幼虫も冬眠するの?」
このような疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、冬の管理方法は飼育している種類によって大きく異なります。
国産オオクワガタのように冬を越せる種類がいる一方、スマトラオオヒラタやニジイロクワガタ、ヘラクレスオオカブトなど、冬でもある程度の温度を維持した方がよい外国産種もいます。
さらに同じ種類でも、
- 成虫
- 幼虫
- 蛹
- 産卵セット
によって適した管理方法は変わります。
この記事では、クワガタ・カブトムシを冬に飼育する際の温度管理について、種類別の目安や加温方法、ヒーターを使う際の注意点まで詳しく解説します。
クワガタ・カブトムシは冬になるとどうなる?

まず知っておきたいのが、
「すべてのクワガタ・カブトムシが冬眠するわけではない」
ということです。
日本には四季があるため、国産昆虫の多くは冬の低温に適応した生活サイクルを持っています。
例えば国産オオクワガタは成虫の状態で越冬する代表的なクワガタです。
野外では秋になると活動量が低下し、朽木や倒木の隙間などに潜り、冬を越して翌年再び活動します。
飼育下でも無加温で管理すれば、気温の低下とともに活動量が減っていきます。
一方、外国産のクワガタ・カブトムシは事情が違います。
スマトラ島やフィリピン、東南アジア、中南米など、日本より暖かい地域に生息している種類では、日本の冬の室温が低すぎる場合があります。
例えばニジイロクワガタは月夜野きのこ園の飼育マニュアルでも理想的な飼育温度が20~24℃とされ、「冬眠しない」とされています。ギラファノコギリクワガタも同様に20~24℃前後が理想とされています。
つまり、
国産種=必ず加温
でも、
外国産種=すべて25℃
でもありません。
まず飼育している種類の生息環境と適温を確認することが重要です。
まず用意したいのは温度計
冬の温度管理で最初に用意したいものはヒーターではありません。
温度計です。
意外と多いのが、
「部屋のエアコンを22℃にしているから飼育ケースも22℃」
と思ってしまうケースです。
しかし実際には、
- 床付近
- 棚の上
- 窓際
- 壁際
- 温室内部
など、置き場所によって温度は変わります。
特に冬は暖かい空気が上にたまりやすく、床に直接ケースを置いていると想像以上に冷えていることがあります。
そのため、エアコンの設定温度ではなく、
実際に虫を置いている場所の温度を測りましょう。
できれば最高温度・最低温度を記録できるデジタル温湿度計が便利です。

種類別|冬の温度管理の目安
ここからは代表的なクワガタ・カブトムシについて紹介します。
なお、温度は「この温度でなければ死ぬ」という境界線ではなく、安定して飼育するための一つの目安として考えてください。
個体差や産地、成長段階、飼育方法によっても変わります。
国産オオクワガタ
成虫
越冬可能
国産オオクワガタは成虫で越冬できるクワガタです。
冬場に無理に20℃以上へ加温する必要はありません。
常温管理の場合、気温が下がるにつれて活動量が減り、マットや木の下へ潜って過ごします。
月夜野きのこ園でも、国産オオクワガタは野外では11月頃から翌年3月頃まで越冬し、飼育下でも無加温の場合は越冬させる管理方法が紹介されています。
越冬させる場合は、
- マットを普段より深めに入れる
- 極端に乾燥させない
- 凍結する場所に置かない
- 何度も掘り返さない
ことを意識しましょう。
活動していなくても、ケース内の乾燥状態は定期的に確認します。
国産コクワガタ・ヒラタクワガタ
成虫で越冬できる種類があります。
基本的には国産オオクワガタに近い考え方で管理できます。
ただし、同じ「ヒラタクワガタ」でも産地や種類によって性質が違うため、外国産ヒラタと混同しないようにしましょう。
国産ノコギリクワガタ・ミヤマクワガタ
ここはオオクワガタとは考え方が異なります。
野外では成虫が冬を越すことを前提とした種類ではありません。
一方で幼虫は土や朽木の中で冬を越し、翌年以降に成長を続けます。
つまり、
「国産クワガタだから成虫を全部冬眠させればいい」
というわけではありません。
種類ごとの生活サイクルを知ることが重要です。
国産カブトムシ
国産カブトムシも基本的には成虫で冬を越しません。
夏に活動した成虫が産卵し、秋には幼虫が成長します。
そして幼虫の状態で冬を越し、翌年春に再び成長、蛹化、羽化へと進みます。
そのため冬に飼育する場合の主役は幼虫です。
暖房で無理に25℃前後へ上げる必要はなく、極端な凍結や乾燥を避けて管理します。
外国産クワガタの冬の温度管理
ここからは特に注意したい外国産です。
スマトラオオヒラタクワガタ
神戸ビートルでも飼育している人気種です。
スマトラオオヒラタでは、年間を通してある程度安定した温度で管理する方法が一般的です。
月夜野きのこ園でも幼虫を21~23℃前後で管理して羽化させた飼育例などがあります。
冬場は、
20~25℃前後を一つの目安
として管理すると扱いやすいでしょう。
特に幼虫を菌糸ビンで飼育している場合、部屋全体の温度が大きく上下する環境より、ある程度安定した環境がおすすめです。
パラワンオオヒラタクワガタ
パラワンオオヒラタも冬場は温度管理しておきたい種類です。
飼育例では23℃前後での幼虫管理や、20℃台での管理例が多くあります。
神戸ビートルでは、
20~25℃前後を基本ライン
として考えると管理しやすいと思います。
大型を狙う場合は、単純に温度を高くすればよいわけではありません。
温度だけでなく、
- 菌糸
- 容器サイズ
- 交換時期
- 血統
- 成長段階
などを総合的に考える必要があります。
【関連記事】
パラワンオオヒラタ飼育大全|成虫・産卵・幼虫・菌糸瓶・羽化まで徹底解説
ニジイロクワガタ
ニジイロクワガタは初心者にも人気がありますが、国産オオクワガタのような冬眠をする種類ではありません。
月夜野きのこ園の飼育マニュアルでは、
理想的な飼育温度20~24℃
とされています。
そのため冬場に室温が10℃前後まで下がる家庭では加温を検討します。
成虫だけでなく、菌糸・発酵マットで管理している幼虫も同様です。
ギラファノコギリクワガタ
ギラファノコギリクワガタも冬眠させる種類ではありません。
理想的な飼育温度は20~24℃前後とされています。
冬場に20℃を大きく下回る環境では、ヒーターや簡易温室などを利用した温度管理を考えましょう。
【関連記事】
ギラファノコギリクワガタ飼育大全|産卵・幼虫管理・大型化まで完全解説
外国産カブトムシの冬の温度管理
ヘラクレスオオカブト
ヘラクレスは中南米原産です。
国内の冬に無加温で飼育するのはおすすめできません。
成虫では20~25℃程度を目安とする飼育情報があり、幼虫についても20~25℃前後での管理例があります。
冬場は、
20℃を大きく下回らない環境
を作っておくと安心です。
特に幼虫は飼育期間が長く、必ず冬を経験することになるため、ヘラクレス飼育では温度管理設備を最初から考えておくと楽です。
コーカサスオオカブト
コーカサスオオカブトは20~25℃程度での飼育が一つの目安です。
月夜野きのこ園の飼育マニュアルでも20~25℃で管理できれば飼育しやすいとされています。
寒すぎる環境だけでなく、夏場の高温にも注意したい種類です。
アトラスオオカブト
アトラスオオカブトでは25℃前後を基準とした飼育方法が紹介されています。
冬は加温しやすい一方、飼育ケースをヒーターへ直接置くと一部分だけ高温になることがあります。
ケース内部の温度を実測しながら管理してください。
サタンオオカブト
サタンオオカブトだけは少し注意が必要です。
「外国産だから25℃にしておけばいい」
という考え方は危険です。
サタンオオカブトは比較的低温で飼育される種類で、月夜野きのこ園では幼虫を18~20℃前後で管理した飼育例が紹介されています。
つまり重要なのは、
温度を上げることではなく、その種類に合った温度を維持すること。
これが冬の温度管理の基本です。
冬に使える加温方法3選

1.エアコンで部屋ごと管理する
飼育数が多い人には最も管理しやすい方法です。
部屋全体を一定温度にするため、ケースごとの温度差を抑えやすくなります。
特に、
- 50頭
- 100頭
- 200頭
と飼育数が増えてくると、小型ヒーターを何台も使うより部屋全体を管理した方が楽になる場合があります。
デメリットは当然、電気代です。
2.パネルヒーターを使う
少数飼育なら非常に使いやすい方法です。
ただし注意したいのが、
ケースをヒーターへ直接密着させないこと。
ヒーター付近だけ温度が高くなり、ケース内に大きな温度差ができる場合があります。
できればサーモスタットや温度計と組み合わせましょう。

3.発泡スチロール・断熱ボックスで簡易温室を作る
個人的にコストを抑えたい初心者におすすめなのがこの方法です。
用意するものは、
- 発泡スチロール箱
- パネルヒーター
- サーモスタット
- 温度計
など。
断熱された箱の中をヒーターで暖めることで、小さな飼育温室を作れます。
ただし完全密閉はしないようにします。
ヒーターを使用する以上、
- 異常加熱
- 結露
- 蒸れ
- 温度ムラ
にも注意が必要です。

冬の温度管理でやってはいけないこと

ヒーターへケースを直置きする
ケースの底だけ極端に高温になる可能性があります。
特に幼虫飼育ではマットや菌糸の内部温度も意識しましょう。
温度計を置かない
冬場の失敗で意外と多いのがこれです。
「多分20℃くらい」
ではなく、
実測してください。
数百円~千円程度の温度計で確認できるため、ここは節約しない方がいい部分です。
1日に何度も温度を上下させる
昼は暖房で25℃、夜は暖房を消して10℃。
このような環境では温度変化が非常に大きくなります。
温度の数字だけでなく、
急激な温度変化を減らすこと
も意識しましょう。
外国産だから全部25℃にする
これも注意してください。
ニジイロやギラファ、スマトラ、ヘラクレスなどでは20℃台で管理するケースが多いですが、サタンオオカブトのように低温気味の管理が重要な種類もいます。
種類を調べず、一律に同じ温度へ入れてしまうのはおすすめできません。
冬でも昆虫ゼリーは必要?
成虫が活動している場合は必要です。
外国産クワガタ・カブトムシを20℃以上で加温している場合、冬でも普通に活動してゼリーを食べることがあります。
そのため、
「冬だからエサはいらない」
と判断しないでください。
食べている個体には通常通り昆虫ゼリーを与えます。
一方、越冬状態に入った国産オオクワガタなどではほとんど活動しなくなることがあります。
状態を確認しながら管理しましょう。

幼虫の冬の管理で重要なこと
成虫以上に注意したいのが幼虫です。
特に、
- スマトラオオヒラタ
- パラワンオオヒラタ
- ギラファ
- ニジイロ
- ヘラクレス
などの外国産幼虫は、冬だからといって必ず休眠するわけではありません。
種類に合った温度なら冬でも成長します。
逆に、冬場の低温によって成長が極端に遅くなったり、菌糸の状態に影響が出たりする可能性もあります。
幼虫を大型化させたい場合は、
季節ではなく飼育環境を基準に管理する
ことが重要です。
神戸ビートルの冬管理で一番重視していること
個人的に冬の管理で一番大切だと思っているのは、
「何℃にするか」より「温度を把握すること」です。
23℃が理想なのに22℃になったからといって、すぐに問題が起こるわけではありません。
それより怖いのは、
「20℃くらいあると思っていたら夜中は12℃だった」
という状態です。
まず温度計を置く。
最低温度を見る。
そのうえで必要なら加温する。
この順番で考えるだけでも、冬の飼育失敗はかなり減らせます。
神戸ビートルのInstagramでも飼育情報を発信しています

神戸ビートルでは、クワガタ・カブトムシの飼育方法や大型個体を目指すための管理方法、実際の飼育記録などをInstagramでも発信しています。
ブログだけでは紹介しきれない個体の写真や日々の飼育状況も投稿しています。
クワガタ・カブトムシ飼育が好きな方は、ぜひInstagramもチェックしてみてください。
冬の温度管理チェックリスト
| チェック | 確認ポイント |
|---|---|
| □ | 飼育している種類の適温を確認した |
| □ | 成虫で越冬する種類か確認した |
| □ | 幼虫で越冬する種類か確認した |
| □ | 外国産を国産と同じ環境に置いていない |
| □ | 飼育場所に温度計を設置した |
| □ | 夜間の最低温度を確認した |
| □ | 窓際や床に直接ケースを置いていない |
| □ | 必要な種類にはヒーターを準備した |
| □ | ヒーターへケースを直接密着させていない |
| □ | サーモスタットを使用している |
| □ | 温室内に温度計を設置した |
| □ | 急激な温度変化を避けている |
| □ | ケース内を極端に乾燥させていない |
| □ | 加温中の成虫にはゼリーを与えている |
| □ | 種類ごとに管理温度を分けている |
まとめ|冬は「加温するか」より種類を知ることが重要
クワガタ・カブトムシの冬の温度管理で最も大切なのは、
すべての虫を同じ温度で管理しないことです。
国産オオクワガタのように成虫で越冬できる種類もいれば、ニジイロクワガタやギラファノコギリクワガタのように冬眠せず、20℃台の環境で管理した方がよい種類もいます。
ヘラクレスやスマトラ、パラワンなどの外国産種を飼育する場合も、冬場の最低温度には注意が必要です。
逆に、サタンオオカブトのように低温管理がポイントになる種類もいます。
つまり冬だからといって、
とにかく温めればいいわけではありません。
まず、
- 飼育している種類を確認する
- 適温を調べる
- 温度計で現在の環境を測る
- 必要な場合だけ加温する
- 温度変化をできるだけ小さくする
この順番で考えてみてください。
温度管理が安定すると、冬場の生体管理だけでなく、幼虫の成長や産卵、羽化までの管理もしやすくなります。
これから本格的に寒くなる前に、一度飼育スペースの最低温度を確認してみることをおすすめします。

